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雪翠BLOGへようこそ!

2037.12.31 23:59|未分類
ブログ概要
雪翠BLOGにお越しいただきありがとうございます。
当ブログでは、フリーゲームの感想やら考察やらを書きつづっていきます。

閲覧時の注意
感想だったり考察だったりしているのでネタバレがポンポンでてきます。
致命的なネタバレだろうがお構いなく書いているので、初見の楽しみを奪われたくない人はブラウザバック推奨です。

管理人の特徴
好きなジャンル:RPG・育成シミュレーション
苦手なジャンル:ホラー・グロ
好きな市販ゲーム:どうぶつの森・ファイナルファンタジーⅨ・ペーパーマリオRPG・ルーンファクトリーシリーズ
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AS考察・ワタル編~『幸福』故の『犠牲』への『贖罪』

2016.09.23 23:17|魔法戦士コネクターズ!
AS考察、いよいよ真の主人公・ワタル編。

これまでの魔法戦士たちの物語は、いわば「不幸の肯定」でした。
結局誰一人として、不幸な現状からの脱却はできていません。
これでは、この物語は、ただの鬱ドラマ、不幸物語になってしまいます。
それを阻止するべく描かれたのが、まさに真の主人公であるワタルです。

一周目(並行世界)では、魔法戦士の現実に打ちのめされ、ワタル以外の全員が死んでしまいます。
その事実に、ワタルは「誰も救えない自分への憎悪」という感情を使って、二周目(本編世界)へ移動してきます。

何故そうしたのか? 幸福願望です

タクヤの件で「もう二度と、誰かを目の前で失いたくない」と思っているワタル。
きっと、みんなと一緒にいる時間を失いたくないのでしょう。
並行世界のワタルがそうしていなければ、並行世界で全滅して物語終了だったわけですから、並行世界のワタルはある意味で幸福を手に入れたのです。
自分は結局死んでしまいますが、それでも、並行世界は守れたのですから。
しかし、この作品の世界観は、ただ幸せになることを許しません。

幸福の裏には不幸がある

それがこの世界の、魔法戦士システムのルールなのです。
では、並行ワタルの幸福の犠牲になったのは誰なのか? その解答が示されたのがASワタル編。

犠牲者は世界のすべて

本編世界を正史にしたということは、並行世界は偽物となるわけです。そもそも滅んでますけど。
しかし、中には、本編世界より並行世界の方がよかった、という人もいるわけです。
いわば、世界中の人の人生を強制リセットさせたわけですよ。
これを大罪とよばずして、何を大罪というのでしょう!
それに気が付いたワタルは自分を責めて、罪に溺れていきます。ワタル単独ダンジョンの名前が「裁きへの道」になっていることからも、ワタルの罪の意識の大きさがうかがえます。
(その意味で、ワタルは「ループもの・世界移動もののキャラクターが背負うべき罪」をしっかり背負わされたキャラクターだといえます。さらにタチが悪いのは、世界移動をしたのはあくまで並行世界のワタルで、本編ワタルの意志はなかったということです。
本作に対し『王道の皮をかぶった邪道の皮をかぶった王道』と評しましたが、ここが『邪道』にあたる部分でしょう)

幸福を得れば不幸が生まれる。これに対し、本作が出した答えは、

共有

「過去のことを忘れるのは、難しいことかもしれませんけど――「皆で覚えている」ことならできると思うんです。」
これは、ワタルのもとにかけつけた際、アヤネがいう台詞です。
幸福も、それによって生まれた不幸も、みんなで共有すればいい。なぜなら、幸福を求めなければ、人は生きることができないのだから。
人と人との幸福がぶつかり合って不幸が生まれる。けれど、その生まれた不幸を和らげるのもまた、人間同士なのです。

ここからは、シリーズ通しての、ワタルというキャラクター評にうつります。
男三人女二人の編成で、先頭に立つイメージカラー赤の青年。物理攻撃が得意で頭はよくなくて、でも明るくて誰とでも話せて、いじめられている子は助けちゃう。
よくある少年漫画の、熱血主人公のような設定です。
しかし、それは表面上だけ。
ワタルは助けるより、助けられている側なのです。
物語中盤は、クオスミ・ヤマアヤで展開されていたことからも、それが裏付けられます。
ワタルが突然熱血化して、説教に近い説得をして、仲間を正気に戻す――そんなシーンはありません。せいぜい、一人で背負い込もうとしてきかないクオンを一度ぶったくらいです。
むしろ、他人への依存(特にヤマト依存)が激しく、誰かがいなくなることに恐ろしく敏感な、ある意味で守られ系ポジションなのです。
ではなぜ、そんなワタルが主人公として据えられたのか。

天才的な共有の能力

以下、最新バージョンで追加された、クオンの回想より、クオンのワタル評を抜粋。

「特別な家系に生まれたわけでもないはずだ。権力も、金も、一般レベルしか持っていないだろう。」
「お世辞にも成績がいいとは言えない。槍は並の学生よりは使えているようだったが、それでも学生の中で少しだけ技術が高い程度だ。」
「それなのに、「ワタル」という人間の周りにはいつも笑っている人がいた。」
「助けてくれる人もいた。俺がどんなに足掻いたって、もがいたって、そんな存在は手に入らなかったのに。」
「……そうだ。ワタルという男はずっとそうだった。」
「力も地位も権力も金も、何もなくたって、こいつは人を引き付けることができる。」
「もし俺にもその力があれば、家族は死なずに済んだんじゃないか。」
「そう思うと、この男のことを見るたびに羨ましくなって、妬ましくなって――」
「そんな魅力的な力がありながらこれ以上何を望むんだって、プロクト(ここ)にきてから、ずっと考えてた――」

クオンが妬ましくなるほどに望んでいるワタルの能力、それは共有の能力です。クオンは「引きつける力」と呼んでいます。
自分の感情を相手に共有させることであったり、相手の感情を自分が共有することであったり。
これはもう、努力して身につくものではない、一種の才能ではないでしょうか。
誰よりも他人と共に生きることを願っているワタルだからこそ、そのために必要な「不幸と幸福の共有」という天性の才能が与えられる。
本作における主人公補正とは、最強の力とか、完璧な頭脳とか、作者からのお墨付きとか、そんなものではない。
物理的な目に見える力ではない、精神的な目に見えない力なのです。
(余談ですが、最新バージョンで追加されたクオンのワタル評と、ワタルのクオン評は好きだったりします。お互いがお互いを羨ましがい合ってるのがよく分かり、主人公と裏主人公の関係性がより濃密になりましたね)

決して万能ではない。作者からの寵愛を受けているわけでもない。
駄目なところはダメで、罪もしっかりと背負わされて、がっつりと絶望させられて。
そんな彼が主人公としてゴールテープをきることができたのは、
「不幸と幸福の共有」という天性の才能と、誰にでも手を差し伸べられる心の余裕があるから。
そして、たとえ大罪を犯すことになっても、最後まで幸福願望に忠実に生き続けた、
この「不幸」を描いた物語に、「希望」のスパイスを与えた、そんな存在だからなのかもしれません。


ここまでで、各キャラの物語からの考察は終了です。
次回は、これまでの考察をふまえて、魔コネシリーズの総論にうつります。

↓魔コネAS考察まとめ↓

スミカ編~『劣等』に許された『幸福』
アヤネ編~植えつけられた『消極』
ヤマト編~『羨望』の抑圧に待つもの
クオン編~偽りの『諦観』の果て
ワタル編~『幸福』故の『犠牲』への『贖罪』
総論編~世界と『世界』

↑魔コネAS考察まとめ↑

テーマ:フリーゲーム
ジャンル:ゲーム

AS考察・クオン編~偽りの『諦観』の果て

2016.09.10 22:36|魔法戦士コネクターズ!
AS考察、今回はクオン編。

まずはクオンの背景をおさらい。
戦士学校の校長によって、クオンの父親は冤罪事件に巻き込まれる。
社会の目は厳しく、父親は自殺、母親は精神病院行き、妹のマドカは病死してしまう。
家族を失ったクオンは、自分を置いて行った家族を心のどこかで恨んでいた。
そして、校長に復讐をしようと心に決め、イカルガの戦士学校にやってくる。

本作におけるクオンの役割は、まさしく「生きることと幸福を求めることは同義」というテーマを導く役割だと考えられます。
(幸福や希望にすがっていたって、正反対の現実を見せつけられて、自分がどんどん辛くなるだけだ。
 それなのに、どうしてどいつもこいつも諦めようとしないんだ? 幸せになれる道を必死に探そうとしているんだ?)
これは、ワタルと会話した後のクオンの独白ですが、この独白の答えはまさに「生きることと幸福を求めることは同義だから」でしょう。

幸福を求めることで問題が起きるなら、諦めればいいじゃないか。
それがクオンの考え方であり、行動指針であると、自分では言っています。
「だから、さっさと諦めてしまえよ。それで好き勝手にやればいいさ。母親やイカルガが憎いなら魔物討伐なんて放棄して、イカルガが壊れていく滑稽なさまを足組みながら眺めることだってできるんだぜ。」
これは魔法戦士の真実を知り落ち込むスミカにあてたセリフです。
こうしてみると、一見クオンは、いわゆるアンチヒーロー的な立ち位置であるようにとらえることができます。
彼のイメージカラーである黒・クールな性格・冷静な振る舞いなども、その印象を助ける要因になっています。
それはある意味で当然なのです。なぜなら、クオンが抱いている疑問は、魔王が抱いているそれと類似しているからです。
ただ、クオンが本当の悪に堕ちない理由はこれにあります。

本当は諦めてなどいない

本当に幸福を諦めているのなら、
自分を置いて行った家族に複雑な感情を抱くでしょうか?
自分と同じように壊れかけている同級生を助けようとするでしょうか?
そもそも家族を失った復讐をしようなどと考えるでしょうか?
プロクトにきてから、誰よりも仲間を思い、庇い、護ろうとしてきたのはクオンではないでしょうか。
皆が精神的にまいっているときに「お前たちは戦う道具だ」と大臣に言われた際「道具じゃねえっつってんだろ!」と怒りをあらわにしたのは、仲間を道具と言われたことへの憤怒でしょう。

それでは何故、クオンは偽りの諦観をするようになったのか。
それは自分を守るため。
本当は幸せになりたかったと認めてしまえば、それは家族を救えなかった自分を呪うことにつながります。
だから、最初から幸せなんていらなかった。そう思い込むことで、自分を守ろうとしていたのです。
そんな偽りの諦観の果てに、幸福が待っているわけがありません。諦めるということは、現在の状態を受け入れるわけですから。
そのことにクオンが気が付いたのは、陽動作戦で自分が死にかけた時。
逆にいえば、「こんなになるまで気が付かなかったなんて……」ということです。

心の傷を偽りで癒してしまう

これが、クオンの最大の欠点なのでしょう


本編の陽動作戦でも、ASクオン編でも、彼は皆の前では「何でもない」風を装います。
でも実際は、皆と離れたくない、置いて行かれたくない、と思っているわけですよ。
自分を偽り、自分の内面に向き合えず、抱え込んだ結果、結果的に大切な仲間を傷つける。

あまりに足りない幸福経験

クオンには幸福経験が足りなすぎるのです。だからこそ、自分を差し出すような決断ができてしまう。
冤罪で父を失い、母は狂い、周りからは白い目、金を稼ぎながら病気の妹の世話……。
それにもかかわらず、仲間を心配し、庇い、仲間を侮辱する人には怒ってくれる。
「俺がこんなに不幸なんだから、周りも不幸になればいい」。
そんな発想にはならないところに、クオンという人間が持つ、本来の人格が表れています。

仲間と一緒に頑張りたい。仲間を侮辱するヤツは許せない。
皆と一緒にいたい。一人ぼっちにはなりたくない。
一見、主人公と対になるアンチヒーローのように思われるクオンは、
本当は誰よりも仲間思いで、誰よりも寂しがり屋で、誰よりも「少年」だったのでしょう。


ここまでの物語は「不幸」に直面した少年少女の物語でした。
しかし、それだけでは、ただの不幸物語で終わってしまいます。
「幸福」の描写がなければいけません。
しかし、この物語の世界観は、ただ幸福になることを許しません。
なぜなら、「幸福と不幸は表裏一体である」という世界観だからです。
誰かが幸福になる裏で、誰かが不幸になる。それがこの物語の、魔法戦士システムのルールです。
「幸福」の描写があるということは当然、それによる弊害の描写も必要です。
この物語を、不幸に直面した少年少女の苦悩物語にしないために。
ちょっとだけでも希望が見えるような、そんな物語にするために。
物語のバトンは、真の主人公にしてアンカーである、ワタルに渡されるのです。

↓魔コネAS考察まとめ↓

スミカ編~『劣等』に許された『幸福』
アヤネ編~植えつけられた『消極』
ヤマト編~『羨望』の抑圧に待つもの
クオン編~偽りの『諦観』の果て
ワタル編~『幸福』故の『犠牲』への『贖罪』
総論編~世界と『世界』

↑魔コネAS考察まとめ↑

テーマ:フリーゲーム
ジャンル:ゲーム

AS考察・ヤマト編~『羨望』の抑圧に待つもの

2016.09.09 22:49|魔法戦士コネクターズ!
魔コネAS考察、今回はヤマト編。

まずはヤマトの背景をおさらい。
(自分を産んだことが一因となって)病気になってしまった母。
そんな母親を「金食い虫」呼ばわりし、あっさりと自分と母親を捨てた父。
母を励ますも「あなた、あなた」と夫ばかりを求める母親。
そのことから「自分に誰かを救う力はない」「皆が幸せになれる方法なんてない」と思うと同時に、
「自分はあの人(=父)のような、身勝手な人間にはならない」と誓うヤマト。

ヤマトの物語が訴えていることは、これだと思います。

幸福願望をもたずに生きることなどありえない

何故なら、この物語のテーマは「生きることと幸福を求めることは同義」なのだから。
ヤマトの物語のギミック的な役割は、「生きることと幸福を求めることは同義」というテーマを、逆説的に肯定することだと考えられます。
要するに、幸福願望を否定する。
幸福願望を否定しているヤマトがもし、生き続けることができたとすれば、「生きることと幸福を求めることは同義」というテーマは崩れることになります。

「誰かの幸せには誰かの不幸が伴うものです。他人を傷つけて、悲しませて、そうやって幸せを手に入れることが、正義なんですか。」
これはヤマトがアヤネに言った台詞ですが、この台詞をもって、ヤマトは自分の幸福を否定します。
何故ならヤマトは、他人を傷つけ、悲しませる、父親のような人間にはならないと誓っているからです。
そうなるくらいなら、幸福なんていらない。そう考えているわけです。

しかしそれは、ダークラウンの言葉によって否定されてしまいます。
「魔物は負の感情で強くなる。その魔物が強くなっているということは、自分に負の感情があるということだ」
結果的にヤマトは、魔物を通して他人を傷つけ、悲しませてしまっている。
それを聞いたヤマトは、誰もいない場所で(俺が魔物を強くしてしまうなら、なんの罪もない人の繋がりまで消してしまうくらいなら……!)と、自殺をほのめかします。
アヤネが止めにきたので何事もなく終わりましたが、もしアヤネの介入がなければ、ヤマトは自殺していたかもしれません。現に、並行世界では、魔物にとりつかれたアヤネと心中しています。
幸福願望を否定しているヤマトは、生きることができないのです。

「生きることと幸福を求めることは同義」というテーマを

逆説的に証明したのです


魔コネ本編では、自分の中の幸福願望を認めるかたちで、ヤマトの物語は終わっています。
しかし、結局ヤマトは母親を幸せにすることができませんでした。
筆者は「妻」を捨てきれないヤマト母にあまり好感を抱いていないので「ヤマトが自分を責めることはない」と思っていますが、ヤマト本人にとって、これは重たい真実です。
本当にヤマトに他者を幸せにする力はないのか? その回答を示したのが、ASヤマト編です。

そもそも、ヤマトというキャラクターには、たくさんの矛盾がつきまとっています。
「幸福願望を否定しながらも、本当は自分も家族も幸せにしたかった」というのは前述のとおりですが、
他にも「アーチャーという後衛職でありながら壁役」であったり、
「男性でありながら女子力が高く『おっかさん』と呼ばれている」ことであったり、
あるいは単純に「他の皆と同い年なのにお兄ちゃんポジションである」ことだったり。
その矛盾はすべて「周りを考えたため」に生まれています。
「アーチャーという後衛職でありながら壁役」である理由がASで語られていますが、
防御魔法が使えないワタル・スミカに合わせて、自分が身に着けたと言っています。

秩序を保とうとして矛盾をためこんでしまう

これがヤマトの苦悩の原因であり、美点であり、欠点なんです。
その要素をASで取り上げたのがクオンです。
「むしろ、あんたの方こそ、言いたいこと言えてないんじゃないのか?」
「自分の中だけにためこんでると、あんたのことは考えなくていいやってなる。あんたは我慢できるから大丈夫だって、放置される。」
この指摘をヤマトは否定し、結果として血塗れの神に取り憑かれてしまいます。
このことで「ヤマトの苦悩に気がつけなかった」と、仲間たちは後悔することになります。
ヤマトを信頼しすぎていたことを悔いるのです。

このパーティにおいて、ヤマトほど信頼されている人はいない

本編サブタンにて、ヤマトの前でだけ泣いたワタル。
ASスミカ編にて、ヤマトの前でだけ泣いたスミカ。
本編にて、アヤネが自分の考えを伝えたのはヤマトで、
ASアヤネ編で、クオンは「あんた(=ヤマト)なら大丈夫だと思う」と言っています。
神夜祭でサプライズする対象としてヤマトが選ばれていることが、何よりの証拠でしょう。
ヤマトは決して無力ではない。
パーティを支え、信頼を集め、幸福に導いているのは、間違いなくヤマトなのです。

たくさんの矛盾を抱えながらも、決して非道徳的な方向へは落ちない。
そんなヤマトだからこそ、皆が信頼し、皆が感謝をし、皆が「おっかさん」と称する。
正義・誠実の象徴であるヤマトにひとつ、大きな罪があるとすれば、
こんなにも自分を信頼してくれている親友・仲間がいるにも関わらず、自殺を決断してしそうになる(しまった)ことだろう。
ヤマトの生い立ちゆえの自己犠牲的な考え方は、共感の域を超えて痛々しく、可哀想で、だからこそ、大きな罪を犯したことにでさえ、受け手は辛さを感じるのだ。


「幸福の不平等」に抗ったアヤネも、耐え忍んだヤマトも、結果的には厄災を起こしてしまいました。
それでは、厄災を起こさないためにはどうすればよいのか。
ここで新たな選択肢、「幸福そのものを諦め、なかったことにする」という選択肢が登場します。
なかったことにすれば、抗うことも、耐え忍ぶこともしなくていいのです。
では、その方法で、はたして人は生きていけるのか。
物語のバトンは『諦観』の魔法戦士・クオンに渡されるのです。

↓魔コネAS考察まとめ↓

スミカ編~『劣等』に許された『幸福』
アヤネ編~植えつけられた『消極』
ヤマト編~『羨望』の抑圧に待つもの
クオン編~偽りの『諦観』の果て
ワタル編~『幸福』故の『犠牲』への『贖罪』
総論編~世界と『世界』

↑魔コネAS考察まとめ↑

テーマ:フリーゲーム
ジャンル:ゲーム

AS考察・アヤネ編~植えつけられた『消極』

2016.09.08 21:32|魔法戦士コネクターズ!
魔コネAS考察、今回はアヤネ編。

ASの話をする前に、まずは本編のアヤネの物語をおさらい。
「幸福の不平等」に悩むスミカの次にスポットが当たるアヤネ。
彼女は、男尊女卑の風習が根付く村で過ごし、その風習に不満をもっていた。
そこで、村の価値観から解放されるため、女性の戦士になることを志す。
しかし結局、戦士になった(なろうとしている?)自分を利用し、家族は息子を手に入れる。

アヤネの物語は「幸福の不平等」に抗う物語

女性として生まれたばかりに、男性より不利な生活を強いられていることへの反逆。
スミカの物語で肯定されてしまった「幸福の不平等」の存在を、アヤネ編では否定しようと奮闘するわけです。
では、アヤネははたして、「幸福の不平等」をなくすことができたのか?
スミカ編で書いた通り、この物語は「幸福の不平等」の存在を認めています。

アヤネに「幸福の不平等」をなくすことはできなかった

ではなぜ、彼女は「幸福の不平等」をなくせなかったのか。
キーワードは、アヤネ編のテーマとなっている『消極』です。
ゲーム開始から、プレイヤーに対して「アヤネは典型的マドンナタイプである」という認識が植えつけられます。
「学校のマドンナ」「植物が好き」「おしとやか」「敬語」「防御能力の低い回復役」
アヤネ=か弱いマドンナという図式が、プレイヤーに埋め込まれるのです。
そして、その認識はプレイヤーだけでなく、物語のキャラクターにも埋め込まれています。
「アヤネ好きだー!」と叫ぶワタルにはもちろん、イベントシーンで真っ先にアヤネに防御魔法をかけるヤマト、アヤネの容姿を羨ましがるスミカ。
こんな話があります。
人間は「自分はこうなんだ」といわれると、本当にその通りの行動をとるようになる。
占いなんかその例ですね。「うお座のB型だから、私ってこういう性格なのね」と思うと、ほんとうにその性格になってくる。

アヤネは、周りが望むマドンナ像を演じてしまう

そんなに行動的ではないけれど、その分人一倍空気が読める。アヤネはきっとそのポジションなんです。
そう。本来のアヤネは決して『消極』ではない。
村の価値観を変えるため、一人で家を飛び出し、イカルガにやってきて、戦士になろうとしたのだから。
「もういい!  どこへでも行け、親不孝者め!」
父親からそう叫ばれても、アヤネは自分の思いを貫いた。
これは、親からの愛を求めるスミカ、母親からの興味を求めるヤマト、家族への執着を捨てきれないクオンとは、全く逆の行動です。
自分の信念のためならば、親の価値観ですら否定する。

アヤネは本来、誰よりも『積極』の性質を有している

だからこそ「こうしたい」「ああしたい」「私だって何かしたい」という思いは溜まっていく。
でも周りは彼女を「か弱いマドンナ」として扱います。
「ああ、私は頼りにされていない」「周りは私が弱いと思っている」――「私は弱い子なんだ」
こうしてアヤネは、本来備わっていた『積極』を失い、『消極』の象徴にまでなってしまうのです。
ASでは、アヤネの自己否定がより顕著に描かれ、
「ないものを強請ってばかりで、誰かに変わってもらうのを待ってるだけで、そんな自分が嫌いだった! ますます自信がなくなっていった!」
「こんな気持ちになるくらいなら人形の方がよかった」
とまで言わしめます。
あのアヤネが敬語を捨てて泣き叫び散らすのですから、そうとうな自己嫌悪であるといえるでしょう。

自分の本来の性質に気が付けず、

周りから植えつけられた言葉を、本物にしてしまった

これが、アヤネが「幸福の不平等」をなくせなかった要因


ASアヤネ編では、クオンがそれを裏付ける台詞を発しています。
「あんた(=アヤネ)が控えめなのは能力がないからじゃなくて、他人のことを考えすぎる癖がついたからだと思うが。」
周りの言葉を気にしすぎた結果、といえるでしょう。

ではアヤネの物語は「幸福の不平等はなくせませんでした」で片付くものなのか。
そうではありません。
『消極』の象徴になってしまいながらも、アヤネは自分にできること――結界破壊作戦を実行します。
その彼女の、奥底に眠っていた『積極』の性質が、もう一人の魔法戦士・ヤマトの考え方を変えることになります。
また、ASでも、アヤネの考え方・行動がギルドマスターに影響し、彼の方針を変えることになるのです。

「幸福の不平等」はなくせない

でも、それに抗おうとする姿は、誰かに影響を与える


自分と誰かの考え方をつなぐ――「コネクターズ」というタイトルを冠するこの物語において、これはとても重要なことです。

男尊女卑の村での生活や、周りからの評価によって、本来の性質を失ってしまう彼女。
しかし、本当は芯があり、したたかで、前に進んでいくことができる。
『繋ぐ』をキーワードにするこの物語において、彼女の「誰かに影響することができる力」は、ある意味もっとも重要視されている力であり、
それを与えられたアヤネは、「か弱いヒロイン」などでは決してない、立派な「一人の主人公」なのでしょう。


しかし、積極がもたらすものは、必ずしもよいことばかりではありません。
並行世界でのアヤネは、憑依型魔物にとりつかれ、厄災を生みました。
そもそも、ワタル達が魔法戦士として戦うことになったのは、幸せを願う人々の犠牲になったからです。
「幸せになりたいと願う→行動する→別の誰かに被害」
その意味で、アヤネの考え方は、儀式遂行者と似たようなものである、ととることもできます。
「幸せを願う気持ちが災いをもたらすなら、求めなければいいのではないか?」
儀式遂行者、そしてそれと似た考え方をもつアヤネに対するアンチテーゼとして。
物語のバトンは『羨望』の魔法戦士・ヤマトへと渡されるのです。

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スミカ編~『劣等』に許された『幸福』
アヤネ編~植えつけられた『消極』
ヤマト編~『羨望』の抑圧に待つもの
クオン編~偽りの『諦観』の果て
ワタル編~『幸福』故の『犠牲』への『贖罪』
総論編~世界と『世界』

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